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ハリポタ二次創作(ハリジニ?):糖蜜タルトのハッピーソング

 屋敷しもべ妖精特有の口調どんなのだったか忘れた。読み返すのめんどいから適当に。何と、ハリーが殆ど出てきません。ジニーちゃん不器用とか勝手な設定いくつか。




 バター色の生地を、麺棒で均一に薄く伸ばして、タルト型にぴったりと貼り付ける。フォークでぷすぷす穴を開けたら、重石を入れて一足お先にオーブンへ。
 古いパンを細かく千切って、木のボウルに入れる。
 そこに、金色の甘い甘い糖蜜(トリークル)をたっぷりかける。愛情の度合い分。
 糖蜜の上から、大さじ一杯並々注いで入れるのは、隠し味の酸っぱいレモン汁。いつも心配させられる、悲しみの分。

「大分上手になられましたね」
粉だらけの麺台の縁に座って、ジニーの作業を一部始終見ていた、『彼』に仕える年老いた屋敷しもべ妖精が言った。
「ありがとう、クリーチャー」
ジニーが得意げに微笑んだ。
「クリーチャーの教えてくれたこのレシピ、ホントに美味しいわよね。学校のに少し似ているかも。」
タルト作りも一段落ついたので、ジニーはクリーチャーに話しかける。
「ブラック家伝統のレシピを、私がホグワーツ風にアレンジしたものでございます。レギュラス様もこれが大好物で御座いました」
「ママやクリーチャーみたいにもっと上手に作れたらいいんだけど…」
「ジネブラ様はクィディッチの試合でお忙しいのでしょう?無理をなさらずとも、このクリーチャーめがいくらでも作って差し上げますのに」
クリーチャーの進言に対して、ジニーはニッコリ笑った。
「あら、ちっとも無理なんかじゃないのよ。毎日鎧みたいなユニフォーム着てクアッフルを追いかけ回してると、自分が女だってことを忘れそうになっちゃうから。ママも『そろそろ花嫁修行しときなさい』なんて言ってくるし…」

「そんなものですか」
「それにね、」
ジニーの双眸が、一層柔らかな三日月を描いた。ジニーは、僅かに頬を染めてはにかみながら言葉を続けた。
「好きな人のために何かを作るって、とっても楽しいものよ。ハリーがどんなに喜んでくれるか想像すると…あ、下焼き終わり」
オーブンに下げておいた時計が楽しげに歌い出したので、ジニーは急いでオーブンを開けた。
「ジネブラ様、ミトンをお忘れで…」
「あっつーい!!」
クリーチャーの注意は間に合わず、ジニーは悲鳴を挙げてタルト型から弾かれるように手を離した。
「すぐにハナハッカをお持ちします」
「だ、大丈夫大丈夫。かすっただけだから。」
ジニーは火傷に数回息を吹きかけただけで杖を取り出し、タルト型に向けてそれを振った。タルトは型ごと、ふわりと浮遊して、用意してあった濡れ布巾の上に着地した。
「最初からそうすれば良かったわ。さ、フィリング入れなきゃ」

 ジニーが熱々のタルトに糖蜜を染み込ませたパンをばさばさ投入するのを見ながら、クリーチャーは考えた。

 主人の伴侶になるかもしれないこの女性は、クィディッチの試合でボールを追い掛け回すことなどは得意だが、それに反して家事など細かく女性的な作業は苦手だ。この糖蜜タルト作りも、今でこそ時に火傷を負う程度の失敗ですむようになったものの、始めの内はもっと酷いものだった。人に食べさせても大丈夫そうなタルトが出来るようになったのは、やっとここ三回くらいだ。

 それでも、ジネブラ様は本当に楽しそうにお作りになるのだ。それは全て、ハリー様が喜ぶ顔が見たいからだと言う。

 ジニーは生地の余りを再び薄く伸ばし始めた。飾りに使うつもりらしい。フィリングの上から、格子状に乗せるのだ。

 屋敷しもべ妖精に、人間のような恋愛感情はよくわからない。でも、大切な人のために美味しい物を作りたい、という気持ちなら、そしてその大切な人が今日も無事に家に帰ってきて、食事を共に出来たらいい、と願う気持ちなら悲しいほどによくわかる。

 クリーチャーは、随分昔に自分のために命を落とした主人、レギュラスのことを思い出していた。

 本当に家族思いで、自分のような身分の卑しい者にもよく心を掛けてくれる、優しい方だった。和解した今なら思えることだが、ハリー様はレギュラス様に少し似ていると思う。魔法使いも、屋敷しもべも、等しく扱ってくださる、希有な方だ。そんなハリー様だからこそ、ジネブラ様もこれほど一途に想い、支えようとなさるのだろう。

「…ハリー様を、宜しく頼みましたぞ。」
クリーチャーは、薄くし過ぎたタルト生地を必死で摘まんで寄せて厚みを持たせようとしているジニーに向かって、唐突に言った。
「ど、どうしたのよ急に…」
ジニーは手を止めて笑う。しかしクリーチャーは、大真面目な顔をしてジニーをしっかりと見据えながら言った。
「レギュラス様に似ているハリー様は、誰かのためについ無理をしてしまうことも沢山ございます。いつかレギュラス様のように、つまらぬ者のために命を落としてしまいはしないかと心配ですが、私はもうすっかり老いてしまいました。それほど長く生きることもないでしょう。ジネブラ様、どうかこの老いぼれが居なくなった後もハリー様の心を支え、ハリー様が無理をなさらないで生き長らえるように傍にいて頂きたいのです。」
 屋敷しもべの切実な懇願に、ジニーは柔らかく微笑んだ。
「死なせないよ。」
 ジニーは両手に一杯ついた粉を払って、クリーチャーの目線に近くなるまで屈んで、クリーチャーとしっかり目を合わせた。
「ハリーは絶対、私が死なせない。私はずっと、ハリーが帰る場所であり続ける。ハリーが毎日帰りたいと思える場所であり続ける。だからお料理なんかもきっともっと上手くなれるように頑張るし、ハリーが好きなこといっぱいしてあげるの。」
 ジニーは、そこで静かに目を閉じた。ハリーが今まで味わってきた波乱万丈な人生、ハリーが今まで味わえなかった当たり前の幸せ、そして、自分がこれからハリーにしてあげられることを思い浮かべているのかもしれない…

「それにクリーチャー、あなたも絶対長生きするのよ。あなた今でも家のこと沢山やってくれるし、もう二、三十年くらい平気平気」
ジニーがクリーチャーを指差して、いたずらっぽく笑った。
「もう三十年も生きたら化け物ですよ。それにお盆も持てなくなりかけてる老いぼれになんの価値がありますか」
クリーチャーは自虐的に返した。
「えっ、それは大変、ハリーと私の赤ちゃん抱いてくれるんでしょ?今からでも筋トレ遅くないわよ」

 暖かい家があって、お菓子の焼ける甘い匂いがして、例え役に立たなくてもこんな自分に価値を見いだしてくれる、優しい人々が微笑んでいる。これが幸せでなくては、一体何だと言うのだろう。

 にこりとも笑わなかった月日があまりにも長すぎたため、今でも動きがぎこちない表情筋を無理やり動かして、クリーチャーは笑顔を作った。

 貴方達が、いつまでも幸せに暮らせますように。今、自分が幸せであると、貴女達に伝わりますように。

「ただいまジニー、クリーチャー!あれ、何かいい匂い」
「ハリーの大好物だよー」
「わーホント?じゃあ紅茶いれるよ」



ハリジニというかクリーチャーの独白ばかり。誰得だよんなもん。リハビリみたいなものなのでしょぼいのはご勘弁…
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