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暗殺教室二次創作(イトナ×寺坂):Not Dead Luna

 皆さん、大変申し訳ない。やっちまいました、鵜守初のぼおいずらぶでございます。糸寺です。原作から逸脱するカップリングは描かないことにしていたのに…だって糸成くんがあんまり寺坂寺坂言うからさー。ついさー。ま、勿論全年齢向けですがね。だいじょぶな方だけ、どーぞ。あと本誌バレ注意。



「ったく糸成の奴、どこで何してやがんだ」
寺坂竜馬は、冷たい真珠色の月明かりが照らす山道を、汗だくになって登っていた。時期は2月。冷たい風がびゅうびゅう吹きすさぶが、この急で石やら枯れ枝やらでデコボコした坂道はそれすらも忘れさせてくれる。

 今日は村松んところに泊まる日なのに、夕飯時になっても帰ってきやしねえ。

 塾で帰りが遅くなると言う村松に代わって、寺坂が糸成を捜すことになったのだ。先程、いつものメンバーで連れ立って帰る途中、忘れ物を取りに行く、と言って抜けて、それっきりだったので、まずは学校を当たってみることにした。セキュリティーも何もない、先生方もみんな帰ってしまっている筈なのに、鍵の一つも掛かっていない木造の校舎に容易に忍び込むと、寺坂は真っ直ぐいつもクラスメートたちと学んでいる教室に向かった。建て付けの悪い引き戸を、力任せに引き開けると、果たして窓際の誰かの机に腰を下ろして、窓の外をぼうっと眺めている少年の姿が目に飛び込んできた。寺坂と同じ年なのに、彼より随分小さくて細っこくて、色素の薄い派手な髪型を、児童向けホビー漫画の主人公みたいにバンダナで纏め上げている。見間違えようもない、彼は捜していた堀部糸成だった。糸成は寺坂に気付いたようで、ゆっくりとこちらを向いた。

「何やってんだよ、早く帰るぞ」
 語気を荒げて糸成の近くまで大股で歩み寄るが、糸成は動かない。
「三日月だな」
 などと、窓の外に浮かぶ白い月を見上げて惚けたことを呟いている。
「それがどうした。いつものことじゃねーか」
 寺坂がそう答えても、糸成はまるで聞こえていないかのように月を見上げたまま、呆然とつぶやいた。
「地球がああなったら、俺達一溜まりもないんだな」
「…」
 糸成は身体ごと向きを変えて、寺坂と向き直る。
「俺さ、嬉しかったんだよ。E組(ここ)に来られて。お前に逢えて。でも、あと1ヶ月なんだよな。あと1ヶ月で、全部消えてしまうかもしれないんだ」
 先月、夏休みに南の島でやった以来の大掛かりな暗殺をまた仕掛けた。今度は竹林が覚えてくれた火薬の威力も使って。糸成の電子工作技術もつぎ込んで。弱点も解っていた、今度こそ殺れると思った。それなのに。
 あろうことか、殺せんせーはまたまた成長を遂げていた。
 爆風と火炎の嵐から、悠々と舞い戻ってきたあのタコは、いつもの通りあの限りなく無表情に近い笑顔で生徒たちを誉めた。

『よくぞここまで考えましたね皆さん。でも、まだまだ先生の命にはほど遠い』

 二回目、しかも夏にやったよりずっと大掛かりで危険な方法だったのに、それでもダメなのか。
 ここのところ、みんなの顔には諦念の色が色濃く浮き出ていた。以前の活気はどこへやら、みんな休み時間も黙って、来年存在しているかどうかも解らない志望校への受験対策をのろのろとやっていた。烏間先生の訓練も、身が入らないでいた。しかも恐怖に耐えかねてか、二、三人ほど学校に来なくなった者も出てきた。

 そんな中、寺坂組五人は、健気に毎日登校して、勉学に励み、暗殺訓練を受けていた。それでも仲間の表情が、どこか浮かないものであると、寺坂が感じていた、矢先だった。

 糸成は黙ったままの寺坂に、控えめに微笑みかけ、机からひらりと降りた。
 そして、いきなり寺坂の間合いに入ってきた。糸成が触手を持っていて、寺坂のことを「ビジョンがない」などと評したいつかのように。違うのは糸成の表情だ。あの時のような、感情全てが抜け落ちたような無表情とは違って、糸成は何かを決意したかのような、硬く強張った表情だった。緊張し過ぎて蒼白な、糸成の整ってはいるが自分と同い年の割にとても幼い作りの顔が、近づいてきた。
「な、なんなんだよ、いきな…」
 寺坂の言葉は、糸成によって途中で奪われてしまった。糸成は徐に背伸びして、寺坂の首に腕を回して抱き付くと、寺坂の唇に自分の唇を重ね合わせたのだ。

「…」
寺坂の動きが止まった。あまりに突然なことに、目を閉じる余裕すらなかった。糸成の、目を瞑っていると余計に際立つ長い睫毛が眼前にある。

「…」

 長い長い数秒間だった。糸成は近づいてきた時と同じくらい、自然にするりと離れた。
「なっ、なっ、なんっ…」
 言葉を発することも出来ないくらいうろたえている寺坂に対して、糸成は涼しい顔で言い放った。
「こんな時は目を閉じろバカ」
「バカは余計だ!!ったく何てことしやがる…」
「寺坂、好きだよ」
 唐突に発せられた告白に、寺坂の言葉は飲み込まれてしまった。糸成はにっこりと笑っていた。しかし、どこか哀しそうに。
「…」
「答えは要らない。じゃあな、また明日」

 糸成は、寺坂と視線も合わせず、足早に教室を出て行った。

「…」
 まさか、野郎にキスされるとか。
寺坂は糸成が触れた首の当たりに触れてみる。
 糸成の腕は、冷たかった。生白くて、見た目通り細くて小さくて。
まだ、糸成の冷たさが皮膚に残っているようだった。

 しかし、不思議と嫌な気分はしなかった。

 糸成なら仕方ない。

 そんな感情だ。

 寺坂は、糸成の眼差しを思い出す。男の癖して、ぱっちりでかくて、澄み切った綺麗な瞳には、うっすら涙が浮かんでいた。

 これで最期みてえな言い方しやがって、バカ野郎が。

 寺坂は急いで教室を出て、走って校庭に出た。糸成の姿はもうどこにも見当たらなかったが、寺坂はまだどこかにいるのであろう糸成に聞こえるように声を張り上げた。他の誰かに聞かれたって、構わない。

「おい、糸成ぁ!!返事も聞かないで逃げ帰るなんて、男らしくねーぞ!!お前と居るのは俺に取っても悪くねえ!!心配しなくたって俺があのタコ殺してやる!!だから、諦めんな!あと1ヶ月あるじゃねえか、諦めんなよ!!それで、無事殺せたら…」

 寺坂は、そこで言葉を切った。言葉にするのがこんなにも照れ臭いなんて。あいつはよくもさらりと好きだなんて言えるもんだ。
 
 それでも、言わなきゃ絶対に後悔する。

 寺坂は、すうっと深呼吸して、声の限りに叫んだ。

「殺せたら、また俺の傍に居てくれよなっ!!高校受験も、お前に追い付けるように頑張るから!!俺もお前が、好きなんだっ!!」

 …言ってしまった。

 目の前に本人はいないけれど、恥ずかしくて仕方ない。顔中が酷く熱を持っている。今の俺はきっと、茹でタコのごとく真っ赤になっているに違いない。姿を見せない、あいつも多分。明日学校で会うのが楽しみだ。

 寺坂は家路に向かう。元々頭が良く、長い不登校故のブランクも、見る間に埋めてしまった糸成の志望校は、寺坂の今の実力よりも1ランク高い。

 だがまだ僅かに時間はある。諦めるのはまだ早い。そして、息抜きにあのタコを殺す方法を考えよう。

 俺もあいつと、一緒に生きていたいから。

over

BLって、こんな感じでOK?
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