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暗殺教室:緊張の夏、日本の夏

やっぱり話によって性格がブレブレなイト狭…実際の所どんな関係性なんだろう、姉弟みたいにのほのほ仲良くしてるのか、毒舌家同士ギスギスと言葉をぶつけあうのか…くっつけとか言わんから、会話してるとこ出ないかなあ。

イト狭・黒

「あ、鼻緒が切れた」
いつものメンバーでぶらぶらと夜店街を歩いていた時。光る小物が沢山並んだ店の前で狭間が突然立ち止まり、呟いた。
「マジか、大丈夫かよ」
村松が心配そうに言う。
「下駄屋…なんてのはないみてえだしなあ」
寺坂が両側にずらりと立ち並ぶ夜店たちを見回して言う。
「いや、ハンカチと五円玉がありゃ直せるらしいぞ?…俺はどーやるかわからないが」
吉田が言う。
それから三人は、何かを期待するかのような目で俺を見た。

…まあ、結論から言えば出来るが、めんどくさい。

「普通の靴を履いてくれば良かったのに」
ジーンズのポケットからシワになったハンカチと五円玉を取り出して、狭間の足下にしゃがみこみながらも俺は一言言わずにはいられない。
「煩いよ」
狭間がふてくされたように吐き捨てた。

女なんてのは、これだから。

ハンカチをひたすら細く細く捻りながら、狭間の下駄に手を触れた瞬間、俺は気づいてしまった。

くろい、つめ。

狭間のやたら骨ばって青白い足の先、十枚の爪は、一部の隙もなく艶々とした漆黒に塗られていた。

「…どうした?」
紐みたいになったハンカチを持ったまま、呆然と佇む俺を心配したのか、寺坂が馬鹿面で訊いてくる。
「…黒いマニキュアって、あるんだな」
俺が呟くと、狭間が面倒そうに訂正する。
「ペディキュア」

どっちでもいい。

俺は数回瞬きをして、気を取り直すと、なるべくテキパキと作業をする。一分もあればこんなの、普通に直せる。方法さえ知っていれば誰だって出来る簡単なお仕事だ。

「後日解いて洗って返せよ」
そう言って、俺は立ち上がった。

俺たちはまた、夜店を当て所なく巡り歩く。お面屋に殺せんせーのお面が飾ってあったとか、村松ん家は冷やし中華もマズいとか、色んな話題が浮かんでは消えるが、どうにも俺の脳裏から狭間の爪の色が消えてはくれなかった。

俺は正直、狭間がどんな格好してようと興味はなかった。こんな乳も尻も平べったい、見てても何も面白くない、ついでに性格も悪い女の格好なんか。でも、なんだってたかが爪がこんなに印象的だったんだろう。

俺はもう一度、狭間の足元をそっと盗み見る。青白い足の指先で、狭間の爪は変わらず黒く光っていた。狭間が歩く度、夜店の明かりを反射して、きらり、きらりと煌めいた。

いつの間にか狭間の足を凝視しながら、俺はようやく合点がいった。

所謂大人の女みたいに見えたんだ、こいつが。誰かを怖がらせる目的以外でこんなに綺麗に化粧する女心がこいつにあったのかとか、本当は中坊は読んじゃいけない本のおねーちゃんもしないようなどぎつい色だったとか、そんな理由で。

心の奥で、何かが燃える音がした。


「何よ、あんたつま先フェチなの?」
狭間の声でギクリと我に返る。
「なんでそうなる」
無表情を装って聞き返す。狭間はニヤニヤ笑っていた。
「ずっと下見てるからさ。」
「お前おっぱいフェチの上につま先フェチとか」
「しゃぶりたいとか踏まれたいとか?」
寺坂と村松が便乗してからかってくる。吉田だけは「女の子の前で…」と苦い顔だ。吉田のそういう意外に真面目なところは、嫌いじゃない。
俺は意識して、声音にドスを利かせて脅す。
「これ以上下らないこと抜かすなら刻んでランドセルに詰めるが。」
「おー怖」
全然怖いなんて思ってない様子で村松は笑った。
その時、耳をつんざく破裂音が頭の上で炸裂した。見上げると、紺色の空一杯に
七色の華輪が咲き誇っていた。
「…花火」
俺は空を指差して四人に言う。
「おー、ホントだ!綺麗だなあ」
「たーまやー」
「かぎやーじゃなかったっけ?」
「何か去年より豪華だな」
狙い通り、このトリ頭共は花火に心奪われて、この話題を忘れてくれた。俺も色とりどりに染まる空をじっとみる。刻々と変わる赤や黄色や緑の火花が、てらてら光る黒い色なんか忘れさせてくれる。

意識なんかしてない。断じて、気のせいだ。

『上を向いて歩こう!』
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