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暗殺教室:緊張の夏、日本の夏

『美しい』がゲシュタルト崩壊しそうでした。勿論上手くいってほしいが、このカップルは杉野くんが神崎さんを大事にし過ぎてぎくしゃくしそうな悪寒。

杉神・白

「わあ、素敵」
神崎さんが硝子細工の店の前で立ち止まる。透明な赤やピンクや青のガラス玉が、細かい銀色の鎖に吊り下げられたペンダントがじゃらじゃらと飾られている。

好感度アップのチャンス、到来!

「絶対似合うよ!あの青いのとか良いんじゃない?」
オレはここぞとばかり褒め上げる。
「そう?でもピンクの方が浴衣には合うかなぁ」
神崎さんはたおやかに言う。そうだ、神崎さんは今日は青系の浴衣を着ているんだった。青いガラス玉は溶け込んで目立たなくなってしまうだろう。オレとしたことが。
しかし、流石神崎さんだ。深い藍色に、白い桔梗が染め抜かれた浴衣。古風だけど彼女によく似合っている。
「そうだね!やっぱりピンクだよね!!」
神崎さんはくすりと微笑む。
「着けてみよっか」
神崎さんはまずはピンクのガラス玉がついたペンダントを取って、首に下げてみた。美しい。
「どう?」
神崎さんは小首を傾げた。オレは心から、力を込めて褒める。
「すっごく、綺麗だよ!」
神崎さんはにっこり笑う。
「じゃあ、次は杉野くんが言ってたブルーね」
しなやかな手つきで長い髪の毛の下、首の後ろに手を入れて、鎖を外そうとする神崎さん。

ああ、この人は本物の天使だ、いや女神だ。何気ない一挙一動美しすぎて困る。

こんなに美しい人がオレなんかの彼女になってくれるなんて、まだ信じられない。週に一回はしているデート、オレはいつもドキドキだ。神崎さんの美しさに。ちゃんと神崎さんを大事に出来てるかどうかに。

今日は所謂、「三ヶ月記念日」。ちゃあんと覚えている。ああそうだ、これをプレゼントにするのも良いかな。綺麗だし、値段も二千円、女の子にあげる物としては妥当だろう。よし決めた。後は神崎さんが何色にするかだな。

「うーん…」
神崎さんが困ったように柳みたいな眉根を寄せる。
「どうしたの?」
オレが訊くと、神崎さんは控えめに微笑んだ。
「外れなく、なっちゃって。杉野くん、悪いんだけど外してくれない?髪の毛は上げてるから」
「お安いご用さ!」
オレは神崎さんの後ろに回って、神崎さんがその長くて真っ直ぐな黒い髪を持ち上げるのを待つ。
そんなオレの目に、恐ろしいほど清冽に飛び込んできた色。

しろい、うなじ。

オスカー・ワイルドじゃないけど、月より雪より、海の泡より真っ白な、神崎さんの素肌が、オレの視界を塗りつぶした。

「…」

オレはしばらく、浴衣の襟元から覗くうなじに目を奪われていた。

「…杉野くん?」
神崎さんに呼ばれて、オレははっと我に返る。
「ご、ごめんね。すぐ外すからね」
オレはペンダントの鎖を留める金具に指をかける。しかし、指が震えて巧く外せない。

神崎さんを、まだ付き合い始めて三ヶ月だっていうのに、そんな目で見るなんてダメだ。

でも、オレの脳内には思春期野郎特有の目眩く妄想、煩悩たちがもう、爆走を始めている。

浴衣の下は、もっと白いのかな。『まだ』三ヶ月なんじゃなくて、『もう』三ヶ月なんだ。何か進展があったっていいじゃないか。本当はもどかしく感じている、んだろう?いつも女神様のような笑顔の彼女に。何か見えない壁が、二人の間にあることに。

オレは、ぷんぷんと頭を激しく横に振った。そうして無理やり、真っ白い甘い幻影を振り払う。

「取れたよ神崎さん。次はブルーだったね?」
ピンクの方を元あった場所に戻しながら、ブルーの方を取って神崎さんに渡そうとする。
しかし、神崎さんはゆっくりと首を横に振った。
「ううん、もういいの。それより花火、そろそろ始まるから、いかない?」
オレは一瞬、何を言おうか迷ってしまった。しかし結局、彼女に従うしか思いつかなかった。
「そ、そうだね。それじゃ行こうか」

「あ、あれ寺坂君たちじゃない?」
「ホントだ。って、渚たちもいる、相変わらず仲良いな」
「奇遇ね」

そんな当たり障りのない話をしながら、オレたちは幻想的な縁日の夜を歩く。その時は、彼女の小さなため息にオレは気づかなかった。

『SOS!』
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