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暗殺教室(千速):碧洋の華~出会い~

ヒストリア観てたらたぎってきたあああ!!
女海賊凛香伝説。
海賊団のメンバーは、「合理的」に決めました。海賊団を運営するのにどんなスキルが必要か、その技術を持つのは誰か、複数居る時はより好きなキャラを、と。なので結構不思議な組み合わせかもしれません。
大西洋とかカリブ海っつってんのに何故日本名…というのは突っ込まないで下さいまし。
恐らく悲恋モノになるし、アダルティな描写、血生臭い描写もかなりあります…続きを書くかどうかは…人気+時間とやる気次第…(←ヤらしいこと言うのやめなさい)


ギャアギャアと、不吉な声で騒ぐカモメ。疎ましいほど、凛香の髪を吹き乱す温い潮風。眼前に、果てしなく広がる紺碧の大海原。

「…反吐が出る」

凛香は、吐き捨てるように呟いた。

家の経済状況が傾き掛けているのは知っていた。父が新しい妻を迎えた時から、それに拍車が掛かった。彼女は手に入れた身分と財力、そして夫の愛を利用して高価な宝飾品や流行最先端のドレスなど、まるで海賊のように欲しいモノを買い漁った。
このままでは家が立ち行かなくなる。
そう考えた父が取った策は、妻を離縁することではなく、娘を成金の商家に嫁に出すことだった。
「娘よりあの女の方が大切なのか」、と泣いて父に問い詰めたところ、父は答えた、「総てを差し出す愛の形もあるのだ」と。

そして凛香は、父より年の離れた顔も知らない男の元に、身売り同然の嫁入りに出されることになったのだ。

「あなたの幸せの為なのよ」
二匹の赤いヒルでものたくったみたいな唇をにい、と歪めて、継母はいけしゃあしゃあとのたまった。
実家で着る最後のドレスのコルセットを、ぎゅうぎゅうと締めるその手を振りほどいて、母さまの形見の髪挿しで刺し殺してやろうかと思った。でも、出来なかった。

そして今、凛香は生まれ故郷の影すらとうの昔に見えなくなった、大西洋のド真ん中と言う訳だ。

「新婚旅行と私の仕事、全部兼ねてですまないね」
老いて醜く肥った男は、凛香の肩にベタつくような手を載せて、黄色い歯を余すところなく見せ付けて笑った。

…何が新婚旅行だ。

凛香は心の中で毒づいた。

確実に逃げられないようにする、そのための方便の癖に。

あの男との結婚式は、今日の日没後だ。
日の光が色の濃さと強さを増してきた。午後ももう遅い時間らしい。

貴族のお嬢様として穢れひとつ知らずに生まれ育ってきた凛香だが、結婚した男女が何をしなければならないか、くらいは知っている。
窮屈な白いドレスを着せられて、カミサマとやらの前で有りもしない永遠の愛を誓って、あの男の親族や家来しか居ない広間でバカみたいに愛想笑いして、二人だけで寝室に引っ込んで、そして、そして…

…思うだけでも、身の毛がよだつようだった。

ギャアギャアと、またしてもカモメが群れて、鳴いている。
近くにクジラの死骸でもあるのだろうか。私も、カモメの餌にでもなった方が良いかもしれない。彼らの血肉となって、自由に、世界の空を、七つの海を飛び回る。
あの厭らしい男の妻になって、夢見ることも恋することも知らないまま、老いさばらえていくよりよっぽどロマンチックじゃないか?

凛香は身を乗り出して、船の外を見た。

その奥に果てない闇を孕んだ、紺碧の波が誘うように揺れている。

私が、何も出来ない、男に従うだけの娘と思うな。

凛香は腕に力を込め、勢い良く甲板を蹴る。身体が、ふわりと宙に浮いたように感じた。

「お嬢様っ!!」
叫ぶ声がして、乱暴に引き戻される。
次の瞬間には、全身を強かに打って甲板に引き倒されていた。
痛みをこらえなから目を開け、引き戻した犯人を睨み付けてやると、それはあの男に付き従っている年寄りの侍女だった。
彼女は激しくも冷たい口調で凛香を問い詰めた。
「一体貴女は、今そこで、何をしておいででした?」
「別に何も。」
侍女から目を逸らしながら凛香は素気なく答えた。

見張って、居たのか。

「…そろそろ、お式の準備をしなければならないお時間です」
侍女は冷酷非情に告げた。
「貴女様は旦那様の妻となり、この家をさらに繁栄させるお世継ぎを産まれる方…御身大切に」

結婚式は船の上の限られた場所とモノだけを使ったとはいえ、豪勢に執り行われた。
女を縛るためだけの、コルセットの窮屈な白いドレス、見知った顔の一人もいない、周りをぐるり取り囲む夫の親族、何もかも想像した通りで吐き気を催すようだった。

「…は、健やかなる時も病める時も、彼女を愛し彼女を敬い、命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
祭壇の前、神父が柔らかく通る声で夫になる男に訊く。彼は唇を歪めて平然と答えた。
「誓います」
「新婦・凛香、貴女は健やかなる時も病める時も、彼女を愛し彼女を敬い、命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
新婦は今度は凛香に訊いてきた。
「…」
凛香は冷ややかな眼差しで前を見つめたまま、何も答えなかった。沈黙を守ったまま十数秒が過ぎると、客席からざわざわと小さなざわめきが上がった。
「…誓え」
頑なな態度を崩さない凛香に業を煮やし、ざわめき始めた親族たちに焦りを覚えたのか、夫は小さな声で急き立てた。
「…」
それでも無視を決め込んでいると、男は凛香の小さな肩を乱暴に掴んで、人目も憚らず叫んだ。
「誓え!!」
「旦那様、そのくらいに」
神父が見かねて止めた。
「体調が優れないなど、理由があるのでしょう。それに公衆の面前でそのように女性を辱めることは貴方様の印象を下げることにも繋がります。どうか心穏やかに…」
この聖職者は、心の底では二人の愛のない政略結婚を良くは思っていなかった。
神父に言われては夫も仕方なく、舌打ち一つでその場は収めた。しかし新郎新婦用の席に着いた時、夫は他の誰にも聞こえない声で凛香に言った。
「お前は金の為に儂に貰われたのだ、奴隷の分際で生意気な態度を取るな」

宴は、表向きは楽しげに賑やかに進み、夜は更けていった。

闇に紛れて、凛香の乗る船に音もなく忍び寄ろうとする怪しい船が一艘。はためく漆黒の旗には、赤いハートの眼帯をした白い髑髏のマークが染め抜かれている。…海賊だ。
「…見るからに派手に飾っちゃってまあ、あれじゃ襲ってくれと言ってるようなもんだよね」
赤い髪の青年が、望遠鏡で覗きながら笑った。
「警備はどうなってる?カルマ」
まだこの当時珍しかった眼鏡を掛けた、黒髪の男が傍に寄って訊く。カルマと呼ばれた青年は答えた。
「バカみたいに手薄。この辺の海は物騒だってこと知らないのかな」
「カルマ、竹林、夜食だが…あれ、もう仕事かよ」
船室から、鍋に一杯のスープとラム酒の瓶を持った、キャラメル色の髪をした痩身の男が出てきた。それには竹林が答えた。
「接近出来次第ね。…でも、少し貰おうかな」
「カルマ、そろそろ操縦替われ。村松のスープ食うから」
操縦室から少年のような声がした。
「はいはいイトナ、でも俺も腹減ってるんだよ…?」
カルマはため息を吐きつつ、村松から受け取った椀の中身を一気に飲み干し、操縦室に入った。
「…確かに見てくれは派手だが、どうだろうな?この前奪った宝は殆どがメッキで価値の低いモノだったし。」
亜麻色の少し長い髪をしたのっぽの青年・菅谷鑑定士が隣を歩く、黒髪の前髪の長い青年・千葉銃士に訊いた。
「わからない。でも、俺たちはお宝を探して奪うだけ…だろ」
千葉は両腕に重そうに抱えた、ピカピカに輝く愛銃を髪の奥に隠れた切れ長の瞳で愛しげに眺め、言った。

船を操縦するカルマ以外の全員が甲板に集まってきたのを確認し、豪奢な椅子に座り、金のラインの着いた黒いコートを羽織った美青年の船長・磯貝がサーベルを甲板に突き立て、言った。
「良いかみんな、何度も言っていることだが女・子供には手を出さない。殺しもなるべく最小限に抑えろ。宝は…欲しいものがあったら何でも奪え、ただしあまりに場所を取るものはやめてほしい。今までやってきたお前らなら出来る。良いな?」
「おう!」
六人の部下たちは自信満々に答えた。この船の全員が、小奇麗な見た目に反して頼もしい海の荒くれ者揃いだった。
「大分近づいたよ。竹林、後は頼む」
操縦室からカルマの声がした。
「僕は船医なのに、なんでいつも操縦を頼まれるんだ」
ぶつぶつと不平を言いながら操縦室へと入っていく竹林。入れ替わりに甲板へと出るカルマ。
「文句言わない。一番大事な船医殿を危険に晒すわけにいかないでしょ」
「戦いは不得手だしな」
イトナも重ねて言う。
磯貝が椅子から立ち上がった。
「全員武器を持ったな。それじゃあ…」
「開始!!」
掛け声とともに、ぐーんとターゲットに近づく船。血生臭い戦いが、今宵も始まろうとしていた。

形式的で退屈なだけの式は終わり、凛香は彼女の身投げを阻止したあの老女に、白い寝巻に着替えさせられていた。老女は入念に凛香のボディチェックをしながら訊いてきた。
「人を傷つけることのできるモノは、持っていますまいね?」
凛香が再び自決を試みることや、あるいは夫を殺すことを危惧しているのだろう。凛香はフンと鼻を鳴らした。
「湯浴みからずーっとあんたが見張ってるんだもん、そんなもの持ち込む隙なんか無かったでしょう」
老女は何も言わず、検査を終えた。それから、今居る小部屋の出口を指し示した。
「旦那様がお待ちです。」

「海賊だーっ!!」
見張り台で船の周囲を警備していた船員が、声を張り上げる。カンカンカンカンとけたたましくベルを鳴らして危険を知らせるが、時はすでに遅し。海賊船は衝突も厭わないのかと思うほどに恐ろしい速度で接近し、あっという間にぴったりと商船にくっつけた。
「あぅっ!」
大砲に火をつけようともたもたしていた若い兵の右手の甲を、銃弾が貫通する。
「うわぁ!」
侵入者たちを迎え撃とうとしていた兵は、カットラスで腹を裂かれ、その場に倒れた。
タタタタン。一番最初に船に乗り込んできた賊に対して銃弾が連射されたが、そいつはその全てをフライパンで薙ぎ払い、逆に撃ってきた兵士の脳天をそのフライパンでしたたかに殴りつけた。
「遅ぇよ!」
村松は笑う。
「くそっ!」
船室の奥から、休憩中だった兵もわらわらと飛び出してきて、手に持ったピストルを村松に向ける。
「ぐわぁ!!」
カルマが振り回した巨大な槍によって、彼の周囲に集まってきていた兵士全員がバタバタバタッと崩れ落ちた。
「ああ、無駄に傷つけるなと言っているのに!!」
磯貝船長は叫びながら、サーベルでひょいひょいと次から次へと襲い来る兵士の武器を薙ぎ払って海に捨てながら叫んだ。
「そんな芸当出来るの船長だけっすよ!!」
ラム酒の空き瓶を振り回しながら菅谷が叫んだ。
「うおおおおおおお!!」
女性に有るまじき声を挙げて、メイド服の老女が椅子を持って磯貝目掛け走ってきた。しかし彼女はイトナのカットラスを後頭部に受け、昏倒した。
「女を傷つけるなと何度言わせる気だ!」
普段穏やかな磯貝だが、それを目の当たりにしては流石に怒鳴る。
「みねうちだ!!」
イトナはまた新しく襲ってきた屈強な兵と切り結びながら言い返した。

「…外が騒がしいな。実に不愉快だ」
寝間着姿でベッドに座っていた男が、咥えていた大分残りの多い葉巻を灰皿に押し付け、そこに置いた。
「…」
閉めた扉に背中をぴったりつけて、梃子でも動かない気の新妻は、夫を睨み付けた。
「お前の、その目にもいい加減飽きた。不愉快だ。」
夫はベッドから立ち上がり、凛香の元へとずかずか歩いていくと、凛香のか細い腕を乱暴に掴んで引き摺ろうとした。
「やめて…っ!」
凛香は足を踏ん張り、必死で動くまいと抵抗するが、男の力には適わず、虚しくもシーツの上に引き倒されてしまう。夫は凛香の細い身体を組み伏せ、臭う息を吐きかけるようにして言った。
「泣いても喚いても無駄だ。ここの者は全て、儂の親族や配下だ。儂はお前の夫であるし、お前は儂の妻だ。…どんなことをしようと、構わないのだ」
そう言って夫は、凛香の寝間着の袂に手を掛ける。凛香はせめてもの抵抗と思い、夫を鋭い瞳でぎっと睨み付けた…
その時。
パタララララ、ガチャン。ドアノブの周りに何発もの銃弾が撃ち込まれ、錠が外れる。役立たずになった扉を、誰かが力いっぱい蹴飛ばしてドア枠から押し出した。
ぽっかり空いた四角いドア枠から入ってきたのは、黒い髪の、前髪を目が隠れるほどに伸ばした若い青年海賊だった。
「誰だ!!」
夫はもたもたした動きで枕元に置いてある護身用のピストルを取り、賊に向けるが、賊の方が攻撃が素早かった。賊は手始めにそのピストルを持った右手首を撃ち抜き、それからぶよぶよに肥った腹のど真ん中に撃ち込んだ。
「ぐわあああああ…」
ベッドから毛足の長いペルシャ絨毯から全てを赤に染めながら、苦痛にごろごろとのたうち回る夫。
「やべ、つい必要以上撃っちまった…俺を虐げてた飲んだくれの親父に似ていたもんで」
青年は悪びれる様子も見せず、怜悧な瞳で、まさに今から睦み合おうとしていたような様子の老人とうら若い少女を見据える。
「悪いなお嬢さん、あんたのパパ撃っちまって。大人しくしてれば俺たちは宝だけ頂いて帰るから」
「パパじゃない」
凛香はすっと立ち上がる。
「でも、夫でもない」
どうして得体の知れない恐ろしい海賊の男相手にそうしようと思ったのか、彼女自身にもわからない。凛香は、武器を持っていないことを両手を挙げてアピールしつつ、青年に近づいていく。それからいきなり素早い動きで、蝋燭の刺さっていない金の燭台を掴むと、それを青年の喉元に突き付けた。不意を突かれて、また女性を傷つけてはいけない掟を他の仲間たちより強く遵守している青年は、ゆっくりと両手を上げ、ピストルを床に落とした。凛香は言った。
「私の実家は、身分の高い貴族なの。あんたたちを捕まえる権限もある」
ウソだった。そんな権限は彼女にはない。金と引き換えに身分を失った彼女は、ただの凛香という少女だった。しかし、ぺらぺらと言葉が口を突いて出た。
「…私を、ここから連れ出して。そうしたら、見逃してあげる」
青年は、思いがけない少女の持ち出した取引に暫く呆気にとられる。そして、思いっきり訳の分からないといった調子で言った、
「はぁ?」

To be continued…
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