FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

碧洋の華Ⅱ

Notover今日は凛香ちゃんが正式に海賊になるまで。全体的にコメディタッチ。野郎共がわちゃわちゃしてるの書くの楽しすぎて中々ラブラブ千速にたどり着かねー。
私が村松くんを書くと、どうしてだか寺坂君っぽくなりますね…いっそ差し替えるか?とも思ったのですが、寺坂君が料理出来るかわからないし、村狭←イトのシーンを入れる予定があるので…書き分けって、難しい。



国王が、俺達が主にターゲットにしていた敵国と同盟を結び、海賊の取り締まりを厳しくするようになったため、自分たちは昔より随分警戒しながら仕事をしなければならなくなった。俺が彼女を連れてきたのは、彼女の言葉を鵜呑みにしたからだが、果たしてそれだけだったろうか?

「それで、お前お宝じゃなくて女の子連れて来ちまったわけか」
夜明けの迫る、青白い空の下。潮風が凍てつくように吹き付ける甲板で、磯貝は困ったように頭を掻いた。千葉は、ため息混じりに答えた。
「最近は海軍の目も厳しいし…権力者に恩を売っておいたほうが、海賊仲間全体の為にも良いかなと思って…」
「まあ、美しい女性は確かに宝だがな。美術的観点から見て」
菅谷がまるで綺麗な大理石の像でも見るように、右から左からジロジロと凛香を眺め回す。
「肌の滑らかさに育ちの良さが滲み出ている。意志の強そうな瞳、長い睫毛…こりゃなかなかの逸材だ…痛てっ」
村松が菅谷の後ろ頭を叩いた。
「あんまりバカな真似してるとかみさんにバラすぜ。…冗談じゃねえ、俺がどんだけ苦労してやりくりしてると思ってんだ。食う奴が一人増えるなんて俺はゴメンだよ。大体な、海賊ってのは男の仕事なんだ。非力な女なんかに出来る仕事はここにはねえよ。その娘はとっとと海にでもぶち込んで…」
そこで村松は、磯貝が恐ろしく冷たい目で彼を睨み付けているのに気付き、一瞬言葉を飲み込んだ。磯貝は女性・子供を傷付けることを何より嫌っているのだ。村松は慌てて言い直す、
「…手近な港町に下ろして、丁重にお家までお送りするのが良いと思うぞ。」

「嫌よ。」
凛香が、よく響く声で断固として言った。
「私を端金と引き換えに売ったも同然の実家に帰るのも、あの男の側に戻るのも。返されるくらいなら、この場で海に身を投げる。」
「?!じゃあ、貴族の実家とやらとはもう無関係…?俺らを捕まえたり逃したりできる権力を君が持っていると訊いたから、連れてきたのに」
千葉が声を上げた。凛香は千葉の方を向いてきっぱりと言った。
「あれはウソよ。騙したのは悪かったけど。でも、一度くらい自分の意志で生きたかったの」
「何てこったい…」
千葉は頭を抱えてしまう。
世間知らずのお嬢様の、初めての反抗の為に利用されただけだったとは。
よくよく考えれば、貴族…それも海軍将校のお嬢様を略取することが、どれほど危険なことか。彼女が嫁に出てようが勘当されてようが、今回のことは彼女の父親の耳にも入るだろう。娘が海賊に攫われたとなったら、彼らが取る行動は、恐らく…。
「ほら、そんなこったろうと思った。千葉、お前みてーな若造が、勝手な判断で動くとそういう失敗をするんだ。解ったら大事にならねー内にその娘は海に…じゃねえや、実家でもあの船の主人にでも返して…」
「身寄りがない…自由もない…」
イトナがぽつりと呟いた。
「村松、お前は、身寄りも無く飢えて死ぬ寸前だった俺を拾って衣食住面倒を見てくれた。海賊団に口もきいてくれた。…なのに、この娘のことは助けないと言う」
それから、イトナは村松をじーっと見つめた。
「な、なんだよ…」
「生まれで運命が決まるなんて、残酷だと思う…」
イトナはさらに、子猫みたいに澄んだ大きな瞳で村松をじーっと見つめ続ける。
「…」
イトナの言葉で、海賊たちの多くの顔に、悲しげな表情が浮かんだ。海賊たちは、何かしら仕方のない理由を抱えてここに辿り着いた者たちばかりだった。
自分を見つめるイトナの目に、また自分を取り巻き始めた責めるような空気に耐えきれず、村松は叫んだ。
「だーっ、そのデカい目で俺を見るな!文句があんなら船長に直接言え!!」
「ええっ、俺?」
突然話を振られた磯貝は、戸惑いながらも答えた。
「俺は…別に構わないけど…」
大半の海賊たちの顔に、わあっと笑みが広がった。村松は苦々しげに鼻を鳴らしたが。イトナはいつもの無表情に戻り、凛香に対して小さく親指を立ててみせた。凛香は、小さく頭を下げた。磯貝は微笑んで、明るく言う。
「海軍に追い回されるなんて、今更だし。俺らに目を付ける奴らが少し増えたって、俺がみんなを守ってやるさ。」
凛香が千葉の方を見ると、長い前髪のせいで表情は伺い知れなかった。しかし、固く腕を組んで、村松ほどあからさまではないものの、自分を歓迎していないことは明らかだった。

とにもかくにも、凛香はこうして磯貝海賊団の一員となったのだ。

磯貝は海賊たちに言った。
「万が一彼女に不届きな真似をする奴がいたら、問答無用で海に突き落とす。彼女に何か仕事を与えてやってくれ。連れてきた千葉、お前が中心になって面倒を見るんだぞ」

千葉が、凛香を振り返りもせずにスタスタ速い速度で歩く。
「あの、ごめんなさい…」
気まずい沈黙に耐えきれず、凛香が口を開く。
「…」
千葉は、凛香の声掛けに対しても黙ったままだった。凛香が諦めて口をつぐむと、暫くして千葉はため息とともに呟いた。
「磯貝が良いって言ったんだ、仕方ない」
「私をどこに連れてくつもり?」
凛香は、千葉が何かしら喋ってくれたことに安堵してもう一言かけてみる。千葉は短く答える。
「着替えさ。そのナリじゃ何にも出来ないだろ」
凛香はそう言われて自分の着ている白い寝巻を見る。そしてちょっとだけ赤面した、よくもこんな格好で今まで居られたものだ。しかも見知らぬ男性ばかりの海賊団、夫の元にそのまま居るよりも酷い目に遭っていたかもしれないというのに、よくホイホイ付いていく気になったものだと我ながら呆れてしまう。でも、もう後戻りは出来ない。
千葉は船室の中、一つの扉の前で立ち止まり、ポケットから取り出した鍵でそれを開ける。千葉の自室らしい。
所々武器や宝石や衣服が散らばってはいるが、基本的に片付いた小さな部屋に、凛香も付いて入る。千葉は箪笥を漁って、適当な衣服を数枚、凛香に投げて渡した。
「男物しかなくて悪いけど。なるべく早く着替えて」
そう言って千葉は部屋から出ていった。凛香は貰った服を広げて、よく観察してみる。麻の白いシャツ、薄緑の長ズボン、青い上着に真紅のスカーフ。着古されてはいるが、良く手入れされていた。
…でも、もしかしてこれは…。

「…彼シャツ?」
竹林が眼鏡を指で押し上げながら訊いた。
「…千葉は変態だったのか。」
イトナも真面目くさった口調で呟いた。
とりあえず服を着てみた凛香だったが、どれもこれもぶかぶかで、とてもそれで仕事が出来る状態ではなかった。ズボンは三回くらい裾を折りたたんでも床に引きずる状態だったし、シャツは胸元をたくし上げていないとずれてしまいそうだった。
「物語の女にしか興味の無い竹林と、娼婦を胸の大きさで決めるイトナにだけは言われたくない」
千葉は二人に言い返しながらも、凛香のことは直視出来ないでいた。
「直すわよ。針と糸貸して」
凛香が言った。
「直せるのか?」
千葉が訊く。凛香の手は真っ白で綺麗で、裁縫など今までにしたことがない様に見える。
「馬鹿にしないでよ。適当に縫い合わせればなんとかなるでしょ」
危ない…一同は震えあがった。千葉は深いため息を吐く。
「教えるから…一応貸したものだし大事に扱ってくれ」

そして千葉と二人で部屋に閉じこもること数時間。凛香は何とか、貰った一組の服を自分に合ったサイズに作り直すことが出来た。疲弊しきった表情の千葉を伴い鏡の中に映る自分は、もうすっかり華麗な女海賊といった風貌だった。…傷一つ無かった指先は、今や刺し傷だらけであちこち血が滲んでいたが。
「良いな!」
菅谷がニッと笑って言った。それから千葉の肩をポンと叩いた。
「やっと、スタート地点に立ったって感じだよ…」
千葉は弱弱しく呟いた。

動きやすい服に着替えたら、次は甲板の掃除だ。モップを持って船室から出る。と、突如吹いてきた強い潮風に煽られたのか、船がぐらりと横に揺れる。
「キャッ!」
凛香はよろけ、千葉の身体にうっかりもたれかかる。
千葉は操縦室を睨み付けた。操縦室ではハンドルを握ったカルマがニヤニヤ笑っていた。イトナはその傍で白々しく口笛を吹いていた。

何とか甲板の塩やら埃やらを全部拭い去って綺麗にしたら、今度は料理の支度だ。
「全く、食材ひとつまともに切ることも出来ねえなんて、やっぱりお荷物じゃねーか」
村松はぶつぶつ言いながら薄く切った牛肉の塩漬けを葡萄酒に浸していた。
「…口煩いんだ。料理は上手いけど。逆らわないほうが良い」
千葉は凛香に、そっと耳打ちした。二人の横から、びゅっと腕が伸びてきてオレンジの実を一つ掴み取った。
「竹林!」
千葉が驚いて言う。彼は普段、あまり厨房には来ないんだが…
竹林は言った。
「壊血病は怖いから。しっかりビタミンCを摂るんだよ」
そして、持っていたメスでオレンジをスパッと二つに切り分けると、片方を凛香に、もう片方を千葉に渡した。
「お前ら、何こそこそしてやが…あ!!」
二人がオレンジを持っているのを、そして後ろに竹林が居るのを見咎めて、村松は怒る。
「盗み食い奨励してどうするっ!次に陸に着くまで食料買えないんだぞ!!」
竹林は慌てて逃げようとする。しかし入口で、厨房の様子をこっそり伺っていたカルマ、イトナ、菅谷に躓いて派手に転げまわる。村松はそこを逃さず、竹林に掴みかかって乱闘(ただし一方的)に持ち込もうとする。
「こら、お前ら持ち場に戻れ!ちゃんと仕事しろ!!」
磯貝船長がやってきて、温厚な彼にしては珍しく声を荒げて怒鳴った。それで全員、蜘蛛の子を散らすように各々の仕事場へ戻って行った。
「…今、この船どうやって動いてたの」
凛香が千葉に訊いた。
「さぁ…」
千葉が首をひねる。凛香はまた訊く。
「このオレンジ、食べていいのかな」
「風呂に浮かべる訳にもいかないだろ」
千葉はオレンジの厚い皮に爪を立てながら言った。
凛香は、フッと小さく吹き出した。千葉も、やや気恥ずかしげに笑う。
「悪いな、変な奴らばっかりで」
凛香は首を横に振った。
「全然。むしろ楽しいくらい」

その時。
「海軍だーっ!!」
菅谷が叫ぶ声が聞こえた。はっと、二人が振り向くと同時に、ドカーン!!大砲が派手にぶっ放される音がした。千葉は凛香にそこにいるようにと指示してから、甲板へと出ていった。

「ぎりぎり、直撃は免れたよ」
カルマがハンドルを回しながら言った。船から少し離れた海面に、巨大なガレオン船の影があった。
「あんなデカい図体でこんなちっさいフリゲート船狙うとかっ…」
村松が憎々しげに呟いた。
「無理に戦うな、逃げろ!カルマ、東の方向にひたすら進め!イトナは煙玉の準備!」
磯貝が的確に船員たちに指示を出していく。イトナは銃身が太めのピストルに大きめの弾を込め、千葉に投げて渡す。千葉はそれを華麗にキャッチし、引き金を引いた。バーン、大きな音と共に軍艦に放たれた弾は、途中で派手に弾けて海上一面に濃厚な霧を作った。
「こんだけ視界が悪けりゃ追ってこれねーな、流石カルマ御用達の錬金術師」
菅谷が安心したように頷いた、が。
「追って来るぞ」
イトナが望遠鏡を覗きながら言った。確かに、濃霧の中から灯りがぼうっと浮かび上がってくる。それは次第に、軍艦のシルエットを露わにした。しかも、軍艦が進むごとに霧がどんどん晴れていく。
「利かねーじゃねえか!」
村松が全力でカルマにツッコミを入れた。
「使い過ぎたかな…」
カルマがハンドルを必死で回しながら呟く。
「軍艦から小型船が!」
竹林が軍艦の方を指さして言った。見ると、まるで軍艦を先導するように幾つかのボートが恐ろしいスピードで、海賊船を取り囲もうと海面を走ってくる。
「小型で機動力に優れる俺たちのような船には、それ以上に速い小型船で対抗か…考えたな」
磯貝がピストルに弾を装填しながら呟いた。
「しかしあんな小型船見たことがない。物凄い技術力だ」
イトナが興味津々でボートの一つを望遠鏡で観察する。
「危ねえっ!!」
村松がイトナの襟首を後ろから引っ掴んで、船の奥に引き戻した。次の瞬間、イトナが居たまさにその場所をピストルの弾が通り過ぎ、甲板に命中した。
「気をつけろバカヤロウ!!」
「まずは銃撃戦に持ち込みたいようだな」
磯貝が言った。千葉も、ありったけのピストルに次々と弾を込めながら磯貝に返事をする。
「ピストルだったら俺の出番です。片っ端から撃ち落として沈めてやる」
そして両手にピストルを持ち、狙いを定めて引き金を引いた。
「ぐわっ!」
「ぎゃあ!」
左右の方向から二つの悲鳴が微かに聞こえてきた。恐らく狙撃手に命中したのだろう。千葉はピストルを捨てて新しいものと取り換え、また同じように両手に一丁ずつ持って引き金を引く。
ピストルが得意なものは戦いに参加し、苦手な者はひたすら銃弾を装填する。その連携で磯貝海賊団は着実に敵を仕留めていったが、やはり狙撃の正確さ、速さで千葉に敵うものはいなかった。カルマの運転技術のおかげもあり、このまま逃げ切れるか、と思われたその時。
「千葉っ、危ない!!」
磯貝の叫ぶ声がした。はっとして、千葉が避けようとした時は遅かった、海軍兵士の撃った一発の銃弾が千葉の右手を掠めていった。
「くっ!」
千葉が
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。