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暗殺教室(イト寺):寺坂、頭をよくしてあげよう

腐向け、楽曲パロ。ギリッギリブログにも載せられるくらいにはお上品。一応付き合っている設定。需要はありそうなのに供給が全くないのが不思議なイト寺。自分はぼおいずらぶド下手なんだけど、これを読んだ腕に覚えのあるどなた様が「こんな下手っぴに任せてはおけーん!」と発奮して下されば…とかなんとか。


デートみたいなものと言いつつ、互いに金も無いし受験生と云うこともあって、二人で会う時は大抵、図書館やら公園やらの街中津々浦々で教科書と睨めっこすることになっていた。今日は寺坂の家族がたまたま留守だと言うので、奴の家に上がり込んで、買ってきた菓子パンやら炭酸飲料やらをお供に数学のドリルを解いていた。早々に課題を終えてしまった俺は、専ら寺坂が解らないところを教えることに専念していた。
「この問題は、こっちの数式を使って…」
「こうか」
「違う、最後まで話を聞け。…何で解らないんだ、寺坂のバカ」
あんまり理解して貰えないのに苛立って、つい罵倒が口からついて出る。寺坂はいつもの通り、眉根に皺を寄せて抗議した。
「お前なァ、人のことあんまりバカバカ言うなって言ってんだろ?大体お前の教え方が悪いから。」
「人の所為にするな。…前の、難易度の低い問題に戻るぞ」
俺はドリルのページを少し前まで戻し、基本的な公式などをもう一度丁寧に教え直してやる。
その甲斐があってか、時々コーラで喉を潤しながら、時々髪をかきむしってあーとかうーとか呻きながら、寺坂は何とか解き仰せた。
「正解だ、やれば出来るじゃないか」
からかい半分に拍手などして誉めてやれば、寺坂はフンと鼻を鳴らした。

「お前、よくこんな小難しいの解るよな」
課題が一段落着いて、休憩をとる。如何にも間抜けそうな表情でジャムパンをもふもふとかじりながら、寺坂は言った。
「パズルみたいなものだろ?この程度解らないの、E組ではもうお前くらいのものだぞ」
俺はラジコンのヘリコプターのねじをドライバーで締めながら顔も上げずに返した。顔を上げなくとも、「また言う…」と呟く寺坂が拳を握り締めてぐぬぬと顔をしかめているのは手に取るように解る。そしてその拳が、改造人間としての力を既にもう殆ど失って久しい俺に向けられる可能性はほぼ無いだろうということも。
「…数学とか科学とかは、絶対的なものだからな」
手を止めて、俺は呟く。顔を上げて寺坂の顔を見ると、寺坂は案の定はてな?という表情をしていた。俺は続けた、
「変わったり壊れたりしない。答えが決まっている。…ヒトと、違って」
親父もお袋も、友達だと思っていた奴も、みんな俺の元から去っていった。それについて俺は責める権利を持たない。責める気もない。人間ってのは、そういうものだ。
…だが、本当にそう、諦めきっているなら、どうして今、それをコイツに言う気になったのだろう?
遠回しにヒトを、自分を否定する言葉を俺に投げつけられた寺坂は、困ったような顔をしていた。
「…変わらないもんだって、あると思うが…」
寺坂は、コイツらしからぬ小さな声でぼそりと呟いた。
「…本当にお前は、バカだな。犬以下」
俺はため息をついて言う。
「だぁらっ、バカって言うなっ!!犬以下ってなんだ!!」
寺坂は怒って拳を振り上げた。俺ははいはいと幼児をあやすかのようにそれをかわした。
寺坂が、そう言うのは解りきっていたことだった。
コイツはバカだけど、本当に優しい。本当にコイツなら、例え地球が終わっても俺から去らないでいてくれるかもしれない。…そう、信じたくなってしまう。
「絶対的なものが欲しいなら、俺がやるし」
寺坂は、当たり前、と言った調子であっけらかーんと言った。
俺は椅子から立ち上がって、寺坂の目の前に立つ。
「…何だよ」
寺坂は怪訝そうに訊く。
「寺坂、キスしようか」
俺は座ったままの寺坂を見下ろして淡々と言う。
「はあ?何を唐突に…」
答えを待たず、余計な発言を許さず、俺は身を屈めて寺坂の唇を性急に奪う。
角度を変え、何度でも重ね、徐々に深くなっていく口づけ。速度を増す寺坂の鼓動と、水音だけが俺の聴覚を満たしていく。
時間も、酸欠も気にならない。ただただ、コイツの体温を感じていられればそれで。
一分もやっていたら苦しくなったのか、寺坂は俺の肩を掴んで引き剥がそうとする。俺は仕方なく離れてやった。濡れて光る糸だけが、未練がましく二人の間を繋いでいる。
「何だってんだ、一体…」
寺坂は口元の唾液を手の甲でぬぐい去る。それで糸は、呆気なく切れて下に落ちた。
もう少しくらい、名残惜しそうにしてくれても良いのに。
俺はつい、今より多くを望んでしまいそうになる。
寺坂は俺より随分背も高い、体格も良い。寺坂が座っていてくれるから、俺が優位にも立てると言うのに。
「あ、勉強ばっかやってて飽きたとか。『休む』か?」
寺坂が後ろの寝台に走らせた視線で、その言葉に隠された意味を知る。まあ、そうしたいのは山々なんだが。
「早い内には帰ってくるんだろ、親」
代わりと言う訳でもないが、俺は寺坂の首に腕を回して抱き締めた。寺坂の耳元で、俺は囁く。
「寺坂、頭を良くしてやる」
「はぁ?」
寺坂はまた、言った。
「おめー、失礼って言葉知ってるか?」
寺坂の顔は見えないが、声の調子から多分、顔を怒りのあまりひくひくと引き攣らせているに違いない。寺坂は、俺の腕をそれでも振り払うことはしない。それを良いことに俺は続けた、
「数学と英語なら人に教えられるくらいには自信がある。その他も…まあ、お前よりは出来ると思う。だから、一緒に居る内に教えてやる。どんなにお前がバカでも、我慢して教えてやる」
「バカバカうっせーっての…」
もう反論するのも面倒くさい、といった調子で寺坂はため息を吐いた。

優しい寺坂、俺の命を救ってくれた寺坂、俺がどんなにかお前のことが好きか、お前は解らないだろう。
でもきっといつか、恋にも終わりが来るものだ。その時、お前に少しでも俺がひととき、一緒に過ごした証が残るように。また一人になっても、俺が生きていけるように。

窓の外では、晩秋の色濃い黄昏が、街を染め始めていた。

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